【バンコク=岩崎健太朗】ミャンマー国軍による抗議デモ弾圧で、組織的な市民の殺害が次々に明らかになっている。現地の情報では12日夜から13日にかけてもヤンゴンやマンダレーなどで少なくとも10人以上が死亡、犠牲者は80人を超えたとみられる。「死ぬまで撃て」と、上司に命令されたとの警官の証言も伝えられている。
ロイター通信によると、市民への攻撃を拒否した警官や家族ら100人以上が隣国のインド東部ミゾラム州に逃れた。ミャンマー西部ザガインの国境の町の20代の警官は2月下旬、上司に「機関銃でデモ隊を解散させるように」と指示された。従わずにいると、翌日再び迫られ拒否。家族を残し、国境を越えた。「制止はゴム弾か、膝の下を撃つのが警察のルールだが『死ぬまで撃て』と命令された」と語った。
「軍が警察に圧力をかけ、市民と対立させている」「警察官も抗議に賛同しているが、誰も統率できない」。複数の警官はこう証言し、銃撃命令を認めた。
国連のアンドリュース・ミャンマー人権特別報告者は「国軍幹部の認識の下、殺人や強制失踪、拷問など人道への罪を犯しているとみられる」と指摘した。
地元メディアによると、11日の弾圧で少なくとも7人が殺された中部マグウェイの町ミャインでは、それまでデモ隊の強硬制圧はなかった。住民の話では、警官が前日「銃撃の命令を受けている」と伝え、屋外に出ないよう要請。だが軍の部隊が送り込まれ、銃撃による弾圧に発展した。
アムネスティ・インターナショナルは、市民らが撮影した計55本の映像を検証。司令官が特定の抗議者への狙撃を警官に指示したり、兵士が警官に銃を手渡し、発砲後に周囲の警官がたたえたりしたことを確認し「殺傷力の高い装備で組織的、計画的な殺害が続いている」と非難した。
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