当局の傍受を防ぐために中朝国境で切っては移動を繰り返すご苦労
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北朝鮮の通信環境はひと頃に比べて大きく進歩したが、北朝鮮を訪問する外国人はともかく、国際電話はいまだに制限が多く、不便を強いられている。北朝鮮の人々はどのようにして海外に電話しているのだろうか。
(過去分は以下をご覧ください)

◎「北朝鮮25時」 (https://jbpress.ismedia.jp/look for?fulltext=%E9%83%Advertisement+%E6%96%87%E5%AE%8C%EF%BC%9A)
(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)
北朝鮮政府が国際電話の仕組みを導入したのは、社会主義国家の逓信協力機構に加入した1970年代半ばのことだ。
当初は平壌、北京、モスクワの3都市を結ぶ国際有線網が唯一の国際電話網だったが、その後、平壌、シンガポール、香港間の短波無線網や、中国の北京地区局を中継地とする間接通信網を構築するなど、国際電話が可能な範囲が拡大した。
2000年代前半には、衛星、ケーブル(有線)、アナログマイクロ波(無線)による通信網が構築されており、当時、衛星電話は日本、中国、シンガポール、ロシア、香港、フランス、ドイツ、イラン、ルーマニアなどとつながっていた。
もっとも、国際電話は国家業務に関わるものが大半で、個人的な目的で利用するケースは皆無に近かった。そんな北朝鮮で国民向けの国際通信制度が確立したのは、北朝鮮逓信省が国内通信と衛星通信を総括する「朝鮮国際通信センター」を平壌市の普通江区域に設立した1989年にさかのぼる。
ただ、その使用には厳格なルールが設けられた。
北朝鮮国民が国際電話をかける場合は、どこの国の誰と、どのような目的で、どのような内容の通話をするのかを朝鮮国際通信センターの国際電話申込書に記載する必要がある。書面に記載した内容と通話の内容が異なると、国際通信センターに常駐している国家保衛省盗聴局員の調査を受ける。盗聴局は、すべての国際電話を盗聴している部署だ。
北朝鮮住民は危急の用で国際電話をかける時を除き、朝鮮国際通信センターを利用することはほとんどない。では、北朝鮮住民はどのような方法で国際電話をかけているのだろうか。